製作工程を紹介する前に少しだけ読んでくださいませ。

「部屋にぴったりの家具が探してもなかなか見つからない!」私たちがよく聞く言葉です。

既製品の家具のサイズは作る側の都合で決められています。
既製品の材料は工業製品なので規格があります。その規格の材料からいかに無駄なく歩留まり良く効率的にできるかが最優先で作られます。
当然価格は抑えれれますがぴったりのサイズや思ったとおりのデザインにはなりません。
これに対して自然の材料には規格がありません。出来上がる家具をイメージしてそれに合う材を選んでから製作します。

「でもオーダー家具って高いんじゃないの?」これもよく聞きます。

工場で多量に作る量産品と比べたら手作りなので同じ価格ではできません。
しかしながら一枚板を使った私たちの家具は展示されている現品もひとつひとつ手作りなので、
それに比べて高価になるということは決してありません。

実際ご注文されたお客様にはむしろ割安感を感じていただいております。しかも一生ものどころか末代ものです。
家具は長く使うものです。どちらが良いかじっくり考えてみてください!!

それでは一例として下駄箱ができるまでを紹介させていただきます。

材を使えるようになる状態にするまでは「一枚板ができるまで」(その四まで)をご参照ください。

その五 図面

完成形を描きます。あと細かい部分の納まりを図面で確認する場合もあります。
最近はメールで図面を送ってお客様と打ち合わせしながらデザインを確認していただくことが増えて来ました。

その六 木取り

材の木目などに注意しながら必要なパーツをおおまかにカットしていきます。
箱物は良いとこどりするので、完成した作品からは想像できないくらいの多くの材を使います。

その七 削り→幅&長さ決め

各パーツを平面な板状や角材などに決めた厚さに削ります。乾燥した材はまっすぐではありません。
その後幅、長さを必要なサイズにカットします。ここからは特に精度を要求される仕事です。


その八 仕口の加工

仕口とは部材を組み立てて接合するための臍(ホゾ)加工などのことを言います。
釘や木ねじで組み立てるDIYとは違います。ただし木は伸縮するので補強に隠しビスを使用することはあります。
箱物本体のホゾ加工にはNCルーターという機械が活躍します。1/1000mmの精度でホゾ穴を掘ることができます。

機械作業・手作業ともに長所短所・できることできないことがあるので、両方を組み合わせてよりベターな方法を探しノウハウを蓄積しています。
余談ですが木は金属やプラスチックと違いなんでもピッタリが良い訳ではありません。伸縮が大きいための「逃げしろ」が必要になります。
気候の変化が大きい日本の家具は古いものでもそういう工夫がなされています。

その九 本体仮組立て

接着剤をつけずに借りに組み立てしてみます。
もし想定外のことが起きてもまだやり直しができます。人間なので正直間違うこともあるんです。
替えがきかない材を加工するときは緊張し続けているので一日終わるとクタクタです。

その十 磨き!下地塗り

組み立てる前に各パーツを磨いて塗装の下地を塗りサンディングします。
一枚板と違い箱物では組み立てる前でないと磨いたりできない場所があるんです。

その十一 本体の組み立て

本体を組み立てます。仕口部分には接着剤を併用します。
今時のプロ用接着剤は超強力で無理して剥がそうとすると材自体が割れてしまうほど強固に接着するんですよ。

その十二 付属パーツの製作

扉・引き出し・棚板などの付属パーツを製作します。
扉・引き出しの鏡板は特に杢目はブックマッチ(本を見開いた時のように木取る)や続き杢を意識しています。

そして完成!!

お客様の喜んでいただける顔が楽しみです!